日本精神科看護協会の2023年9月発行の広報誌に載せていただきました。
「県下の訪問看護」
ゆうなぎは平成25年8月1日に開設しました。約10年が経ちます。訪問看護の役割はその人がどうなりたいのかを支えることや医療、福祉、行政に繋げ連携していくことだと考えています。そのためには各区役所の保護課や保健担当の保健福祉課、各計画相談支援事業所・ヘルパー、作業所等の病院やクリニック以外の方々とも顔の見える関係でいることを大切にしています。地域で生活する人を支えるために主治医はもちろんのこと、チームで関わる事の重要さを再認識する毎日です。
特に日本人は、自分や相手の「良い所を探す」ことが苦手でネガティブに考えてしまい、不安になったりする人が多いように思えます。ゆうなぎでは訪問時に利用者様の「良い所を探す」ように心がけています。時と場合、入院から自宅へ退院となった際に家族の戸惑いも多々あります。自宅で安心して生活する為にはご家族がキーとなるケースが多いです。ご家族の皆様が身体的にも精神的にも潰れないようにしなければなりません。家族が安心して不安を表出できるように家族支援は欠かせません。
長期入院から退院となった利用者様の母親が「なんでこんな歳をとってまでこんな子をみなアカンのや」と言われたことがありました。利用者様とご家族との関係が徐々にできてくると「この子が居てくれるから私も昼ご飯を食べるようになった。ありがたいな」と母親の気持ちに変化が見られ、現在はその家族も利用者様も作業所に通いながら落ち着いた生活を送っています。疾患だけに目を向けるのではなく、その人自身を観ることが出来てこそ関係を築くことが出来ることを地域医療で学ぶことが出来ました。精神科の病院での経験があるからこそ出来る、心のケアを大切にしたいと考えています。利用者様のSOSにいち早く気が付けるようなきめの細かいサポートを提供し、利用者様の安全を守り安心して地域での生活を送っていただけるよう利用者様の気持ちに寄り添う看護を提供いたします。
また、ここ数年に渡り看護大学の講師に招かれたり実習生が来たり、神戸大学医学部の学生が実習に来たりとスタッフも学びが多く充実した日々を送っています。